一般社団法人 日本建築美術工芸協会

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AACA賞
AACA賞2025 審査総評
 今年も9月の全選考委員が揃ってのパネル選考に始まり、基本的に2~3名の選考委員による現地審査、さらに応募者の皆さんにも直接来場していただいての対面での最終公開審査や各作品をレビューする意見交換会まで、予定通りに審査を行うことができました。応募者各位をはじめ、準備に当たられた関係者にこの場を借りて厚くお礼を申し上げます。
 今年は応募総数が74作品と格段に増えて、建築の規模、地域、内容などいずれ劣らぬ多彩な作品が集まりました。その中から現地審査に進んだ19作品のうち、投票数の上位3作品は全く異なった性格の作品でありましたが、結果としてそれぞれに相応しい賞を選ぶことができました。僅差ではありましたが最多得票を持ってAACA賞が決まり、他の2作品がそれぞれ美術工芸賞と芦原義信賞となりました。さらに他1点が美術工芸賞に選ばれています。
 AACA賞に選出されたのは、檜材や花崗岩など島内の資源を最大限に活用し、施主と共に自力で建設するという《小豆島 The GATE LOUNGE》で、デザインから生産までがひとつながりとなった極めてユニークな建築であると共に、周囲の景観や地形とも一体となった、あたかも施主と建築家がこの土地に創り上げた「工芸品」とも呼びうるものです。
 美術工芸賞となった《荏原 畠山美術館》は1964年に建てられた美術館の再生計画で、特に巧みな意匠の凝らされた旧館のリニューアルは圧巻で、4脚の細身の脚で支えられた免震展示ケースは秀逸であり、館内の空気の一体感を保つ上で大きな効果をもたらしています。もうひとつの美術工芸賞は赤べこ張り子発祥の地に建つ無人駅舎を改修した《会津柳津駅舎情報発信交流施設》が選ばれ、地域の工芸品や人々の記憶の詰まった駅舎の保存が評価されました。
 過去にAACA賞に関連する受賞経験のない新人に贈られる芦原義信賞には、大胆な減築と木と鉄による増築を組み合わせた《大阪避雷針工業神戸営業所》が選ばれました。設計者の提案によって、建て替えから一転してストックの活用が実現した価値ある作品です。
 さらに特別賞として《TODA BUILDING》が選ばれています。京橋の本社の建て替えに際して、大胆にも通りに面する80mの間口全体に3層吹き抜けのロビー空間を配し、その空間を生かして斬新なアート作品を設置したものです。入選作品の中でも群を抜くスケール感と豊かな公共性を提供しています。
 優秀賞に選ばれた3作品、レンズそのものの見せ方に工夫のある《Lens Park》、江戸後期にまで遡る商家の改修である《小田垣商店》、通り土間からのアクセスによる《警固竹友寮》もそれぞれに個性的な三者三様の魅力のある作品です。
 また奨励賞に選ばれた《新札幌アクティブリンク》《対馬博物館》《make SPACE》、美術工芸賞奨励賞の《黎明小橋》もアイディアに満ちた力作であり芸術的な評価も高く、さらに入選となった各作品もいずれ劣らぬ佳作揃いで見応えもあり、とても力のこもった作品群であったと思います。
選考委員長 古谷誠章
応募時公開資料