AACA賞2025 特別賞|TODA BUILDING
AACA賞2025 特別賞
TODA BUILDING
TODA BUILDINGは、単なる本社建替え計画ではない、これから100年の社会を担い、街を支える存在としてのあるべき姿の探究である。
京橋の芸術文化が育まれてきた歴史を大切にし、間口80m、奥行35mの広場を地域に開放し、中央通りで行われる様々な都市のアクティビティーの受け皿となるとともに、その広場から連続する3層吹き抜けのロビー空間は、ワーカーや一般来館者が行き来し、日常的にアートとビジネスが交錯することで、賑わいと新たな魅力が創出され、京橋の価値向上に繋がる。低層部は、複数の吹抜けが重層し、空間的・機能的につながることで、建物内の回遊性を高め、いつ訪れても新しい刺激が得られる。また、広場全体を免震化することで、地震時に建物内外の安全性を高め、地域の防災対応力の強化に繋がる。TODA BUILDINGは、アートの力と、技術力によって、京橋の街を支え続ける存在となることを目指している。

街に開いたアートを実践する新社屋:低層に広場・芸術文化施設、高層にオフィスを構える
写真撮影 川澄・小林研二写真事務所

大庇の下に広がる緑豊かな憩いの広場:中央通りで行われる様々なアクティビティの受け皿となる
写真撮影 川澄・小林研二写真事務所

吹抜けた回遊空間:パブリックアートや緑が点在し、建物全体が美術館のような空間体験となる
写真撮影 川澄・小林研二写真事務所
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京橋に拠点を遷して以来127年目を迎え、地域との結び付きも密接な中での本プロジェクトは、単なる本社建替計画ではなく、百年先の地域の発展を見据えた強い思いが感じられた。
ハード面で注目すべきは革新的な構造技術により国内トップレベルの耐震性を実現し、敷地全体を免震化することで、広場を含めた建物内外の安全性能を高めていることだ。加えて、災害時の一時滞在施設や防災備蓄品も確保するなど、地域防災対応力を強化し、地震の多い日本の状況に対応している。
ソフト面としては、京橋発の芸術・文化拠点を目指し様々な試みが行われている。アートの可能性に注目し、6階までの低層部には芸術文化エリアを設けている。若いアーティストの育成や情報発信の場を提供し、世界へ送り出すチャンスと機運を高め、新たな物語の始まりを予感させる。また、隣接するアーティゾン美術館との間は歩行者専用通路など屋外空間が共有され、気軽に芸術文化を体験できる場を創出している。
建物の裏の通りは「文化歴史の道」とし、地元の歴史文化を土地の記憶として後世に伝えて再構築している。この敷地と周辺にはかつて江戸狩野四家の屋敷、浮世絵師歌川広重が約10年過ごした住居、婦人薬「実母散(ジツボサン)」の発祥の地などがあり、ビルの壁面にそれらの案内板が設置されている。「京橋一丁目町会の御神輿」も展示されているが、京橋の人々に愛されてきた江戸三大祭りの山王祭の際には、1階の間口80m、奥行き35mにわたり広場を開放し、時には大硝子戸も開け放ち町神輿を招き入れるなど地域のアクティビティの受け皿にもなるという。
様々な試みによる建築とアートそして文化との融合は、次世代の基準となり得るものとして高く評価された。