AACA賞2025 優秀賞|Lens Park
AACA賞2025 優秀賞
Lens Park
福井県鯖江市にあるレンズ工場の隣に計画した、サングラスレンズ専門店とカフェの複合施設である。この建築には、300色以上のレンズが並ぶレンズギャラリー、検眼室、各地の眼鏡フレームが並ぶショップに加え、ワークショップスペースやカフェなど、商品だけでなく人と出会い共に過ごす場所が求められた。そこで風車型の平面構成とし、ワンルームの中に中心と周縁をつくり、集まることと数人で落ち着いて過ごすことを両立させた。
また、訪れる人々がレンズを自ずと目にあてがい楽しめるようなレンズの持ち手を考案し、鯖江のチタン精密加工工場で製作、什器は越前の家具職人と協働した。外壁の左官やテーブルは、異なる色を時間差をつけて塗り重ね、見ることや色彩への興味を促す。気になるレンズを手に取り、テラスに出て山や街並みや動く車を見たり、建物にちりばめられた色彩や光を見つけながら建築を巡り、鯖江越前の技術に出会う空間体験を目指した。

前面道路からみる。背後のレンズ工場、駐車場、道路と各方面へ顔を持ち、それらをつなぐ佇まい
写真撮影 ToLoLo studio

300色超のレンズが並ぶギャラリー、カフェやワークショップスペース等がワンルームに集まる
写真撮影 ToLoLo studio

様々な吹抜けや開口を通して光や気配が集まる2階。レンズを片手に建築内外を巡ることができる
写真撮影 ToLoLo studio
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メガネ生産地として長い歴史に培われてきた鯖江という地域での共同作業による類稀なレベルのネットワークを既存の工場に隣接したサングラスレンズ専門店とカフェとして見える化し、活かすことで、未来に向けて育み継承するというクライアントの情熱が、この建築のあり方を定めたと言える。建築家はその情熱と要望に応えるため、いわば「鯖江ネットワーク」とも言えるチームによる生産システムを街道や既存工場に自然に連続する建築の外観を始めとして、これまでどちらかというとフレームの陰に隠れて地味になりがちなレンズが持つ300色以上の多様な色彩の美しさ、豊かさを伝える製品の展示構成を、ヒューマンスケールの居場所が連続する立体的内外部空間と洗練されたディテールで作り出している。 それらは地元鯖江のチタン精密加工工場の西村金属、越前箪笥やオーダーメイド家具工房のFurniture Holic、漆器の産地である河和田地区の特殊吹付塗装を得意とする丸廣意匠、廃棄レンズ入りのインターロッキングなどの多くの職人と、地元のデザイン会社TSUGIによるロゴ、サイン、パンフレット、webなど、多くの地元の作り手とオーナーである乾レンズ、建築家との共同作業で生み出していることは特筆される。
また建築の平面計画は動きのある風車型の構成で断面とともに立体的な「見る見られる空間」となり、明るい光に満ちた"中心"に位置するショールーム、店舗だけでなくその"周縁"となる、アルコーブのような小さな落ち着けるコーナーの場所にワークショップスペースやカフェを設けていて、人との出会いとともに過ごす場所という地域社会とつながる拠点の一つともなることが、建築空間として実現されている。
AACAの基本理念に合致する、AACA賞優秀賞に相応しい優れた作品である。