AACA賞2025 AACA賞|小豆島 The GATE LOUNGE
AACA賞2025 AACA賞
小豆島 The GATE LOUNGE
オリーブ農園に建つ、オリーブを体験するための店舗施設。樹齢1000年の木に寄り添う三叉の建築は、敷地のゲートとラウンジの機能を持つ。
最大の特徴は、島の資源活用と施主との協働にある。構造体は島内の檜丸太のみで構成。伐採から皮剥き、製材、自作乾燥機での乾燥、小型CNC加工機による1000以上の仕口加工までを施主と共に行った。端材は床材に利用し、基礎には島産の花崗岩を用いることでコンクリート打設を不要とし、環境負荷を徹底して低減した。
スリットから自然光を、3方向から風を取り込むことで自然エネルギーも最大限活用。屋根には100年以上の耐久性を持つチタン亜鉛合金板を採用し、次世代へ継承する建築を目指した。

北東より海側の大開口を見る
写真撮影 Takumi Ota

瀬戸内海を見る。什器は敷地の土による塗装、床は太鼓材の端材、椅子は丸太を三叉に組んだ
写真撮影 Takumi Ota

小豆島産ヒノキ材の太鼓材と半割材による構造体
写真撮影 VUILD
| AACA賞 TOP |






建築は長寿の見事なオリーブの木を抱くように三又プランが採用されているようだが、建築外観全貌を一眼で確認することはできない。しかし迎えてくれる建築の姿は、かわいいとも無骨ともアンバランスとも、実に形容しがたい様相をして、緩やかな起伏と傾斜のある敷地に、なぞるように這いつくばるようなそれは、鎧を纏った甲殻新生物のような姿をしている。オリーブ樹木を加工したハンドルを引き中に入ると、内部はアーチ状の空間のつながりが 瀬戸内の海やオリーブ園など三方向の開口の先の風景に向けて放たれ伸びやかにつながっている。 丸太の組み合わせで構成された空間は、力強さを醸し出しながら、いたるところの関節が動き出しそうな緩やかな結合をして成立している。小豆島内で伐採した檜を、皮剥や乾燥、製材、ジョイント加工、工場組上、現場搬入組立、更に基礎を島内で取れる花崗岩を用いるなど、全ての建設工程を、素人である社員総出で行ったというから驚きだ。そして丸太端材も家具に使うなど伐採材を余すところなく使い倒したという。チタン亜鉛鋼板で覆われた分厚い屋根であり外壁は、自然採光や通風のために分節され、生まれたスリットには防虫などの細工もなされて、手仕事の緩い仕上がりが、建築を呼吸する生き物のように思わせる芸術的な要素になっている。
膨大で複雑な加工を、設計者が完璧にパーツ加工の指示をし技術指導することで 施主自身の手による建設が可能となった。将来におけるメンテナンスなど、建築が施主の手で育てられ成長し生き続けていくことだろう。