サイトマップ
トップページ > AACA賞 > 第8回 芦原義信賞

AACA賞

第8回 芦原義信賞

  • 芦原義信賞
  • 優秀賞
  • 奨励賞
  • 奨励賞
豊崎長屋
作 者:大阪市立大学院 生活科学研究科 竹原義二・小池志保子
審査講評

 この豊崎長屋は築80年の木造長屋を保存再生して、既存の街並みや大阪の住文化を継承することを目指した極めてユニークな試みである。
 外観にはあまり手を加えず以前のイメージを踏襲させているが、内部は耐震補強のうえに設備や水回りを一新させ、更にはヒューマンな魅力的空間を巧みに再生させている。昔ながらの長屋を残したいと考えた大家さんの思いを、耐震改修の補助金や登録有形文化財指定による税優遇などを駆使して、賃貸事業として何とか成立させた見識と努力には敬意を表したい。
 近所の人が自然に通りぬけ、日常の生活が繰り広げられる懐かしい風景が残され、さらにはこの街の魅力で新しく入居した人々の間にも様々なコミュニケーションが発生している。
 このプロジェクトに大学が直接関わることにより、学生たちも現実のなかで多くを学ぶに違いない。街並みに貢献した未来ある新人に贈る芦原義信賞に相応した作品である。

芦原太郎

長岡子育ての駅千秋「てくてく」+千秋が原南公園+信濃川桜づつみ
作 者:山下秀之/長岡造形大学+木村博幸/長建設計事務所+グリーンシグマ+長岡市公園緑地課
審査講評

 信濃川の堤防沿い1.2kmの遊歩道、子育て支援施設、2h aの都市公園が、一体的にデザインされている。
 雪の降り積もる冬にも、大きな遊具で思いっきり遊べる屋内運動広場を備えた[まる・さんかく・しかく]の連なりが特徴的な子育て支援施設。その大きく開放的な窓からは、堤防の勾配に沿って造成した緑のマウンドが視界いっぱいに広がる。円形の造園ユニットによる、せせらぎや水たまり、砂場、野菜畑、ステージ、交差した太いチューブのトンネルなどがつくられた公園では、子供たちが伸び伸びと遊んでいる。長岡市、長岡造形大学を中心に骨格が作られ、サイン、施設の活動を紹介するホームページの編集、イベントの企画など、多くの市民の参加を得て子育ての中核となる場所づくりに成功したばかりでなく、将来にわたり足し・引きできる柔軟さを備えたグランド・デザインによって,まちづくりにも新しい風を吹き込んだ。

近田玲子

開成学園那古宿舎
作 者:大成建設(株) 一級建築士事務所 横地哲哉
審査講評

 房総半島の突端、海をへだてた西の彼方に富士を望む館山湾の鏡浦に建つ夏季のみの臨海学舎である。
 中・高校生の男子の練成の為の施設で一時に大勢を収容するから、キャパシティー一杯に50畳4室と浴室・洗面所・トイレ、さらに食堂・厨房などを、81×10mの長方形の箱におさめた。高床式で1階は鉄筋コンクリートの打放し、2階は木造の黒塗りの杉板張りの外壁とし、背後の防風林の松を越えない高さに抑えた。しかも1階部分の敷地境界沿いにめぐらしたよしず塀がコンクリート部分の目隠しとなり、木造を強調する効果となって自然との融合感がある。さらに10m幅の部屋と廊下を風が吹き抜けるから冷房は不要、夏季限定という条件と予算の制約から、工夫を凝らしたプランとなっている。アートワークは無いが鏡浦の景観に溶け込んだ杉板の外壁の美しさ、それを支えるよしず塀、屋根越しの松などを一体化したデザイン感覚を買う。こうした仕事をこなす経験を重ねた若い人が育つという意味での奨励賞である。

加藤貞雄

東京理科大学長万部キャンパス女子寮
作 者:(株)竹中工務店 設計部 坂口 昭+垣田 淳
審査講評

 長万部の市街地を見晴らす高台に全寮制のキャンパスが設置され、その一画に今回女子寮が計画された。北西に背を向け東南の太平洋を見渡す立地を最大限に生かす為に、全室オーシャンビューの寮室となり、夏の海風が吹き抜け冬の山風を遮断する様な計画を実現する為に特徴的な壁面が計画された。全面打放しによる長い壁は、緩やかに湾曲して部分部分にスリット状の開口部を設けこの建築の造型的な全てを表現している。
 緻密に施工された打放しコンクリートでなければ成立しなかったであろうデザインの質の高さを各所に感じられる。ただ湾曲した壁面が冬の吹雪の時にどんな結果をもたらすのかが気になった。曲面によって構成される内部のフリースペースはコミュニティー空間に利用され、寮生間の濃密な交流が期待される。全体に抑制された材料と色彩計画によって、さわやかな若い女性の感性にふさわしい作品となっている。

岡本 賢