第7回芦原義信賞奨励賞---神保町シアタービル

■概要説明
「古本の街」神保町は、戦前まで映画館や寄席が多数存在する芝居小屋の街でした。この計画は、当時の活気を町に取り戻すために、小学館と吉本興業が協同で企画したものです。300uほどの敷地に100席の映画館、126席の寄席、そして300uの芸能学校の稽古場が同居する劇場建築です。
新たに整備された天空率制度を利用し、この建物に最適な形態を導き出し最大限の座席数と、稽古場面積を確保しました。この多面体を鋼板耐震壁で覆うことで、高い耐震性と汚れの防止、外気循環型外断熱を同時に実現しています。この形態と荒々しい鉄板のマチエールが仮設的な雰囲気を醸し出し、かつての芝居小屋の街がもっていた活気が神保町に甦ることを期待しています。

■審査講評
神田神保町の表通りから一歩奥に入ると、突然に金属の多面体の中に小さな映画館とお笑いライブ劇場を合わせ持つこのビルが出現する。
神田神保町は古本の街、学生の街と言われてきたが、街並みは雑然し最近はあまり元気さを感じられなくなってきている。
かつてこの地には芝居小屋が点在し神田花月亭の興業も賑わいを呈していたそうで、このビルを契機に興業を復興することによる街おこしが開始された。
街おこしの起爆剤としての現代の芝居小屋、あるいは街並みを新たに創り出す意志の表出と考えれば、突飛にも思えるこのビルの外観も肯けるものとなる。
またこの建築は必要機能、予算、建築法規などの複雑に絡み合う問題を鮮やか解決したソリューションとしても高く評価できる。
この神保町シアタービルは芦原義信賞・奨励賞に値するものとして、街や社会に位置づけられる建築の姿や創造的な新しい建築の可能性を示してくれた。
芦 原 太 郎





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