菊川工業探訪の足跡------(平成20年2月28日訪問)



 工場の入口でくるくるまわって出迎えてくれたのは風力発電。今年75周年を迎える菊川工業が、エコの時代に取り組んでいる新規事業だ。
 工場を見学して驚いた。板金からスタートして、スチール、ブロンズ、ステンレスなどの金属加工では右に出るところがないとは聞いていたが、その工場の内部の美しいこと!仕掛品の山も見当たらなければ、人の動きもスムーズ、備品や道具も整然と整理整頓されている。会社理念は「21世紀の都市空間に『夢・価値・美』を創造する」と伺ったが、それが納得できる工場だ。


今回ご案内いただいた
宇津野和俊会長(奥左)と
宇津野嘉彦社長(奥右)

世界に通用する品質を追求する
 実績を伺ってまた驚いた。アップル、ルイ・ヴィトン、カルチェ、ディオール、デビアスなど銀座にある世界の有名ブランド店のほとんどすべてのファサードを飾っているのは菊川工業の技術。ちっとも知らなくて銀座を歩いていた。中に入るのには勇気がいるが、今度銀座に行ったら外壁をよ〜く見てみよう!

そして後日、よ〜く見てみました→写真


世界に通用する品質を追求する
 世界に通用する品質を確保するために、菊川工業が徹底したのは、ものづくりの上での「ムダ取り」と「技術の伝承」。
 仕掛品(完成途中の品物)を減らすのと、動線のムダを省くためJIT(Just In Time)活動を導入。
 一人が一つのものを最後まで仕上げること(1個流し生産体制)にしたら、仕掛品が6分の1にまで減った。また、スリ合せ、穴アケ、溶接など作業を分業していた時よりも組立作業面積が7割減った。工場だけではなく、デスクワークも然り。この改革で個人の仕事に対する達成感が増した上、技術の伝承にも役立つこととなったそうだ。


JITの導入により、「機械部門仕掛品数量」「加工リードタイム」「作業使用面積」の大幅な縮小や、「時間当り出来高」の大幅アップなどが分かる。
 「技術伝承マップ」(技術と素材別)はユニークだ。
「作業」と「仕事」を分けて考えれば、できるだけ標準化した作業は皆ができるようにして(基礎的技能)、その上で、職人技を磨くという物差しができる。
「多能工」を増やすことを念頭に入れた改革だ。マップは、どの技術を誰がどの程度有しているか、誰がどの技術を学びたいと思っているかが一目でわかるように工夫されている。
 もう一つ、「GOOD KAIKAKU賞」がある。
ムダ取りのための改善・改革案を募集。投票によって賞が決まる。一人当り13.8件/月(累計51,200件)の応募の内、掲示されたものから一押しを投票するには皆が中身を読むことになる。うまいことを考えたものだ。

社員のモチベーションを高めながら、改革を全員の手で推し進めていくために、「GOOD KAIKAKU賞」は重要な役割を担っている。

未来に挑戦する
 工場見学では、菊川工業の先見の明たるところが垣間見られた。そのひとつが使用している機械だ。同じメーカーのものに絞ればプログラミングなどが楽になるはずなのに、あえて様々なメーカーのものを使っている。各メーカーの機械の特徴を活かして、菊川工業独自の技術を開発することを狙ってのことだ。
 作業の現場では、今加工しようとしている製品をパソコン上で3次元立体画像で見ることができる。設計段階ではもう当たり前に使われている立体画像だが、なるほどこのように使うと、皆が納まりを確認したり、組み上がりをイメージしやすくなる。情報をビジュアルとして共有することを、作業現場にいち早く取り入れて、効率アップ、品質アップにつなげている。お見事!
 さらに、菊川工業では昨年(2007.9)ベトナムにCADセンターを立ち上げた。世界が認める技術を保持・発展させていくためには、下請け的姿勢は禁物。将来を考えた上でのCADセンターだろう。ベトナムから3名のリーダーが現在日本で研修を受けている。
整理整頓、清潔、そして最新技術----菊川工業の心臓部を見学
道具の形に描かれたマークの位置に、その道具を片付けて行けば、整理整頓は確実にOK。これもJIT活動の成果です。

エネルギーという新分野を切り拓くブレードたち
 訪問したのは北風が強い日で、社屋側の空地に並んだ色形様々な風力発電機が元気よく廻っていた。そよ風のようなかすかな風の力でも動き、特殊なブレード形状による「揚力」と「抗力」を利用しつつ、日本の風況を生かした風力発電機の開発はまだまだ開発途中のようだが、千葉県知事から表彰されている期待の新事業。
 周知のように日本は自給率も低く、資源もない国。今後、エネルギー自給率を少しでも上げていくことはとても大切なことなので、ぜひ頑張って欲しい。




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